循環器内科では、“心臓や血管の病気”を診療します。
私たちの身体の中にある血液は、心臓がポンプとして血液を押し出して肺、および全身の血管内を流れていき、全身の細胞に栄養分や酸素を運びます。さらに、各細胞から不要になった老廃物を回収し、心臓に戻ってきます。この役割を担っているのが循環器です。
これら心臓や血管の病気を診察するのが、循環器内科です。
循環器内科の主な病気
高血圧不整脈
狭心症 心筋梗塞
心臓弁膜症
心筋症
心不全
閉塞性動脈硬化症
循環器内科診療について
こんなことで困っていませんか?
- 血圧が高めだ
- 心臓弁膜症と診断されてお薬を処方されている
- 以前よりも運動時の息切れがひどくなった
- 心不全と言われたことがある
- 歩行中や運動時に胸が苦しくなり、休むと少し楽になる
- 脈が乱れたり、飛んだりする
- 横になったときなどに息苦しくなる
- 手足や顔面、首などがむくんでいる
- 健康診断などで循環器の異常を指摘された
循環器内科で扱う主な疾患
高血圧症
血圧が慢性的に高い状態です。現在、国内では1000万人以上の患者さんがいるといわれています。
ほとんど症状のないまま狭心症、心筋梗塞、不整脈、心不全、脳梗塞などのリスクを高め、動脈硬化を進行させるため、「サイレント・キラー」と呼ばれることもあります。
診察室で測った血圧で、収縮期血圧が140mmHg以上になるか、または拡張期血圧が90mmHg以上になると「高血圧」と診断されます。
高血圧は原因によって大きく2種類に分類されており、それぞれ「本態性高血圧」、「二次性高血圧」と呼ばれています。
高血圧症のうちほとんどは本態性高血圧症であり、その治療では食事療法・運動療法、必要に応じて薬物療法を行います。
治療薬にもさまざまな種類がありますので、定期的に検査を行い、きめ細やかな患者様に合わせた治療を行います。
健康的な生活習慣や薬の正しい使用により血圧を下げ、からだに影響が出るリスクを下げることができます。
不整脈
症状としては、動悸、息切れ、倦怠感、意識消失などが挙げられます。
不整脈と一口にいっても、経過観察でよい不整脈から、緊急を要する不整脈までさまざまなものが存在します。
たとえば心房細動を伴う不整脈は、早期に適切な治療を開始しなければ、脳梗塞を発症するリスクがあります。
心房細動はとくに高齢者では多くみられる不整脈であり、心不全や脳梗塞の原因になる重要な不整脈です。適切な治療があるため、健診で指摘された場合や、動悸の自覚があれば放置せず、当院でご相談ください。
虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)
虚血性心疾患とは、心臓の筋肉に血液を送る血管(冠動脈)が狭くなり、心臓の一部が栄養不足になる病気の総称です。
虚血性心疾患は、冠動脈が狭くなる「狭心症」と冠動脈が詰まってしまう「心筋梗塞」の2つが代表的です。
日本では、心臓による死因の約半数が虚血性心疾患ですので、心臓の病気の中でも多く遭遇する病気です。
虚血性心疾患の予防には2つのポイントがあります。
1つ目は動脈硬化、つまり生活習慣病に気を付けることです。
生活習慣病を放置すると、粥腫(アテローム)と言われる血管内のゴミによって狭窄が生じます。その為、積極的に動脈硬化の原因となる生活習慣病を予防・治療することが大事です。
2つ目は、心筋梗塞を未然に防ぐことです。
アテロームの形成によって血管が狭くなると、狭心症による症状が出てきます。
それを放置すると、ある時点で心筋梗塞がおこります。心筋梗塞を未然に防ぐために、狭心症を疑う症状があれば速やかに病院を受診することが大事です。
狭心症の代表的な症状は「胸が痛い」「締め付けられる」「みぞおちが痛い」などの胸痛や「肩から腕のしびれ・痛み」などがあります。
動いたときやストレス時に痛みを感じ、数分で改善するのが狭心症の典型的な症状です。
一方で、発作時間が長くなった、頻度が増えてきた、冷や汗を伴うようになってきた、という場合は心筋梗塞の危険な前兆です。速やかに救急車を呼んで救急病院を受診しましょう!
心臓弁膜症
心臓弁膜症は、心臓弁が壊れる病気です。
狭窄症(きょうさくしょう)と閉鎖不全症(へいさふぜんしょう)の2つの壊れ方があります。前者は弁が狭くなる病気、後者は弁が逆流する病気 で、いずれも心臓の負担が増えるという意味で心不全の原因となります。
心臓弁膜症は、心筋梗塞、心筋症についで第3位に位置する心不全の原因疾患ですので、早期に発見し、重症度を評価することがとても重要です。
治療は基本的に手術が必要になります。しかし、精査のうえで可能であれば内服をはじめとした保存的療法を行います。
手術が必要と判断したとき、患者様がご希望されるときには、速やかに提携する病院をご紹介いたします。
心筋症
心臓の筋肉そのものに問題がある病気のことを心筋症と呼びます。
心筋症の中には、拡張型心筋症や肥大型心筋症、虚血性心筋症などがあります。
進行すると息切れ、倦怠感、むくみ、不整脈などの症状が出現します。
治療は、内服治療が基本となります。
精密検査をご希望されるときには、適切な病院をご紹介いたします。
心不全
心臓は全身に血液を送り出すポンプです。
このポンプの力が弱くなり、必要な量の血液を送り出せなくなった状態を“心不全”といいます。
結果として血液の流れが不足し、ある臓器では血液の渋滞(うっ血)が生じ、またある臓器では酸欠(虚血)が生じることにより、さまざまな症状が出現します。
心不全の原因は様々です。
あらゆる心臓の病気が最終的に心不全の原因となりうるといわれています。
なかでも“高血圧”や、心臓の血管が詰まってしまう“心筋梗塞”、心臓の筋肉が異常になる“心筋症”、心臓の弁に異常が出る“弁膜症”、脈が乱れる“不整脈”などは心不全を起こしやすい病気です。
心不全はこのような病気の結果、最後にたどり着く、疲れ切ってヘトヘトの状態であるといえます。
<一般社団法人日本心不全学会 心不全手帳より抜粋>
心不全は完全に治るものではないため、症状が良くなったり悪くなったりを繰り返し、ステージがA→B→C→Dと一方通行で進行していきます。
心不全で入院したことのある人は平均で5年間に約半数の方が亡くなります。
これは大腸がんと同じくらい怖い病気であることを意味します。
しかし、心不全は進行を予防できるという特徴があるため、余命は個人差が大きく「余命は何年です」とは説明ができないのです。
治療は、原因となっている疾患の治療が第一です。
加えて、心不全治療薬の使用、生活習慣指導などを行います。
閉塞性動脈硬化症
生活習慣病などによる動脈硬化により、手や足の動脈が狭窄・閉塞して血液が行き渡らなくなり、足の痛み、しびれ、冷感などの症状が出現します。
このような状態を閉塞性動脈硬化症と言います。
進行すると、痛みによって長く歩けなくなったり、歩いていないときも痛みが現れたりするようになります。
治療は、生活習慣の改善に加えて、薬物療法、カテーテル治療、手術などが行われます。